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私は大学卒業後、生命保険会社に10年勤務し、新人営業職員の育成に携わってきました。生命保険の設計をする上では公的な保障である社会保険を理解するのが必須と考え、在職中に社会保険労務士の勉強を始めたところ、社会保険や労務管理の面白さに目覚め、社会保険労務士の道に進むことになりました。現在の事務所を開業したのが平成13年ですが、その前に給与計算のアウトソーシング会社に勤務していた時期があります。もう10年以上たつというのに、その時の失敗は今でも忘れられません。タイムカードの集計データを給与ソフトに入力する際に、同じ部署の山田A子さんと山田B子さん(仮名)というよく似た名前の2人の勤怠データを入れ違えて打ち込んでしまい、そのまま給与振込まで行われてしまいました。ミスはお客様の指摘で発覚し、上司や営業担当者が謝罪に動き、訂正処理を行っていただき、多くの方に迷惑をかけてしまい、申し訳なくて情けなくて、今でも思い出すと胸が苦しくなります。この失敗から、いかに確認作業が重要かを学び、丁寧で慎重な仕事を心掛けてきました。しかし、心構えだけで完全にミスが防げるわけではありません。職員を採用すると、当たり前のことですが、ミスをするのは自分だけではないことに気づきます。人が増える分、リスクが増えることもあります。そしてまた、痛い事件が起こってしまいました。ある日、お客様から氏名変更の手続きの進捗状況を問い合わせる電話がありました。氏名変更の書類だけが先に届いたため、年金手帳と健康保険証の到着を待って処理しようとしていた手続きでした。ところが、相手は、氏名変更の書類と一緒に年金手帳と保険証は発送済とのこと。クリアファイルの奥に年金手帳をキュッと押し込んだ感触も覚えているというのです。私は、何日か前に、その封筒を開けた職員から、取り出したクリアファイルを渡されたときに「年金手帳と保険証が入っていませんが、どうしますか?」と訊かれ、「このお客様なら、手続きを把握されているから大丈夫。たぶん、被保険者からの提出待ちだろうから、このまま待とう。」と答えた状況を覚えていました。到着書類の一覧表にも、事案ごとの記録票にも、そう記載されています。しかし、お客様に「あなた自身が封筒の中を確認したんですか?」と言われてドキリ。確かに封筒から取り出されたクリアファイルしか確認していない。その会社の封筒は横型でどちらが上かは分かりにくいタイプ。もし、上下逆にファイルを取り出したとしたら、ファイルから保険証等が封筒に落ちて、気付かずに封筒ごと捨ててしまった可能性は否定できない。職員は、「絶対に捨ててません。封から取り出すときには必ず封筒の中を確認します。しかもすぐには捨てずにとっておき、夕方光にかざして捨てる習慣なんです。」と主張し、性格から考えても、嘘とは思えません。では、誰に責任があるのか。それはやはり、私であると言わざるを得ません。従業員の心構えだけに頼っていたのではミスは起こりえますし、ミスがなかったとしてもそれを対外的に証明することはできません。事務所としてのミスが起こりえない仕組みができていなかったことが一番の問題でした。この件の後、事務所では、次のような処理を行うことにしました。・封筒は3辺を切り開き、その旨をチェックシートに記入する。・切り開いた封筒を裏返し、書類の入っていたクリアファイルに入れておく。・同封の送付状の有無をチェックシートに記入し、送付状記載の書類名と書類と照らし合わせる。・会社の了承のもと、クラウドによるデータ共有サービスを利用し、お客様と事務所とで事務処理の進捗状況と必要書類・不足書類をリアルタイムで確認できるようにする。これでもう、同様のミスは起こりえないと自信を持って主張することができます。慎重に業務を行うことは当然必要ですが、一個人の意識まかせでは、やはりミスは防ぎきれません。組織としての仕組みをどう作っていくかが必要ではないでしょうか。ここ数年は、他の社労士とも協力し、これらの仕組みを作っていました。スペシャリストではない普通の人が業務をこなせる仕組みを伝えていくことで、管理部門の担当者が確実な仕事ができて、従業員は安心して能力を発揮でき、経営者は本業に集中できるのではないでしょうか。そんな仕組みを構築するお手伝いをしていきたいと思っています。
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