私は25歳の時に化粧品業界に入り、これまで17年間数多くの化粧品作りに携わって参りました。
そもそも、なぜこのような田舎で自然派の化粧品工場を建てて、手作りの化粧品をつくることにしたのか。きっかけは2つの動機です。
一つ目は、個人的な理由からなので少し憚られるのですが、今から8年前に遡ります。
私は、娘の食物アレルギーによる皮膚トラブルで悩まされていました。
毎晩、無意識のうちに体をかきむしる姿に、スキンケアの仕事に携わっていながらどうして救う事ができないのか…無力感を感じる毎日でした。
食物アレルギーはただ単にアレルゲン食物を除去するだけでは防げません。
良質のスキンケア化粧品を使用する事も治癒の大きな条件であるとその時に痛切に感じました。ただし、体にとって負担の少ない原料。
その当時は、精製したオーストリッチオイルを毎日塗る事をやってみました。
その時の良質なオイルが娘の体にとても良く馴染んでお肌が元気になった経験から、植物油脂や動物油脂についての知識を深めるきっかけになりました。
二つ目の理由、それは日本の地方に埋もれている素晴らしい自然素材の扱いに疑問を持った点。
日本の農業は、農協JAの力が絶大です。農家を営む上で農協とは切っても切り離せない関係の上で営まれています。
そのため農協の指導のもと、より、効率よく、より安く安定的に生産される農作物が中心となって市場に供給され、日本の食を支えてきました。
そして、従来からその土地で昔から自生していた植物や農作物は、必然的に経済効率上、避けられてきました。
私は、私たちが営む化粧品作りこそ、その土地にある貴重な天然資源を採りすぎる事なく、少量であっても有効性を高めた状態で価値の高い商品に生まれ変わる事ができる最高の手段ではないだろうかと考えました。
地域の方と連携して自然の恵みを分けてもらい、大切に取出し、お肌に与えていく。
そして、この取組みを通じて、過疎と高齢化による耕作放棄問題に悩む地方を少しでも支えることができないものかと。
私はこの二つの理由から、今自分ができる究極のスキンケアとは何かを考えました。
導きだされた答えは、「水」「油」「植物」。
トラブルスキンの根本的な原因は皮膚の「油分と水分のバランス」に問題があるため、
油分の調整がうまく行かず、乾燥したカサカサ肌から雑菌が入り炎症が引き起こされる事こそ、諸悪の根源だと考えています。
この現象は、食物アレルギーのような体の内側から来る要因と、
化学物質と言われる石油系の化粧品成分が原因だと考えます。
洗剤などに使われる石油系合成界面活性剤は、脱脂力が強いため皮膚の汚れは落ちますが、必要な油分まで根こそぎ落としてしまいます。
また、昨今話題になっているナノ化技術。
その技術のおかげで浸透性の高いクリームやジェルのテクスチャーが格段に良くなりましたが、反面、皮膚内部への悪性物質のキャリー問題が事を大きくする原因にもなっています。
美容師やエステティシャンの方が、手から侵入する化学物質の大量の経皮吸収による皮膚トラブルは職業病として根が深く、あまり表面化されていません。
反対に、大量生産と安定供給を目的にすれば、なおさら毒にも薬にもならないような化粧品になってしまう処方。そんな商品をつくり続けている事が、果たして本当にいいのだろうか。
いつもこんな事を考えていました。
「佐多岬オーガニクス」の基本的な考え方。
「あらう(落とす)」「あたえる(水分、栄養分)」「うるおう(油分)」
それは、人間の肌は本来「水と油のバランス」さえ間違わなければ、トラブルスキンやしわシミを防ぎ、いつまでも若々しくハリのある肌になる物と考えています。
そのために、油分を落としすぎない洗い方に始って、良質の水分を取入れ、良質の油分(オイル)で補うシンプルスキンケアをすすめています。
それを補完する上で、自然界からのモノをできるだけ加工せずにお肌にそのまま取入れる。
自然のモノを、自ら取出してこそ安全性も担保され、時間と共に劣化する(腐る)ことも視野に入れながら、お客様と共にリスクも共有し、本質的なお肌のケアに集中できるような化粧品。
それを、ワイルドコスメティックスと呼んでいます。
ブランドモチーフの「ツマベニ蝶」は、佐多岬に多く生息する、別名「幸せを運ぶ蝶」ともいわれるとても綺麗な蝶で、
昔からから地元の人に愛されてきました。
北緯31°線から、幸せを運ぶ化粧品でありたいと考えています。