【プロフィール】
卵巣は石川だけの珍味
北陸で育ち、子供のころから口にしていると、地方特産物の一つとして見過ごしがちだが、「フグの子」と呼ばれるこの卵巣は毒を持ちます。フグ料理の本場といわれる九州では間違っても口に入らないよう、焼却処分します。
ひと腹の半分で大人三人の命を危険にさらすほどの強い毒が、塩漬にした後に、ぬかとこうじで発酵させて、じっくりと味をしみ込ませると、二つの梅雨を越すころには、人体無害どころか、ほっかほかご飯とも、日本酒とも相性ぴったりの味となります。資料提供/「北國新聞」(1998.5.1)より
フグ卵巣の糠漬
原料の卵巣が有毒にもかかわらず、製品になった時には食用可能な状態になっていますから不思議です。その製法はまず卵巣を35~40%の食塩で撒き塩漬にします。この塩漬は夏を越すことが必要といわれており、約半年から一年程度塩蔵を行います。
その後卵巣を水洗し、米麹、糠、トウガラシおよびいしる(サバ、イワシを原料とした魚醤油、ボーメ20度くらいに薄めたもの)とともに重石をして漬け込みます。さらに糠漬初期に数回桶の上部から魚醤油を差します。卵巣の糠漬には二夏を越すことが必要といわれています。出荷の時期は経験により決められますが、桶ごとにフグ毒のチェックをしたのち出荷されます。資料提供/「伝統食品・食文化in金沢」より