道化師
道化師は踊り続ける
笑わないあの子のために踊り続ける
笑ってほしいのにあの子はただただ泣いている
一人ぼっちで泣いている
ある日ボクは尋ねてみた
「どうしてキミは泣いてるの?」
慰めようとしたのにあの子は睨んで
「なんで分らないの?」
どうしていいか分らなくて
また踊り始める
どれだけ時間がたっても
どれだけボクが踊っても
あの子は泣いてる
踊り疲れて
でもあの子はちっとも笑わなくて
ボクも悲しくなった
ボクも泣きたくなった
二人の涙で泉ができた
その時気づいたキミのこと
「キミはボクなんだね」
あの子は泣きながら頷いた
そっかボクはあの子だったのか
でもなんで泣いていたんだっけ
いつの間にかあの子の姿はなくなって
ボク一人だけがここにいる
ああ、そっか一人ぼっちだったんだ
さみしかったんだ
だからボクが生まれた
ボクはあの子を笑わせる道化師なのに笑わせることができなくて
「ヘンなの」
なんだかおかしくなって笑ってみた
隣からも笑い声が聞こえる
いつの間にかまたキミがいた
ずっとずっと二人で笑い続けた
仕事を終えた道化師は
遠いどこかに消え去った